洞【ぽっかり】

空いたこれを埋めるものはなんだろう。

ここ数日、お月様が非常に丸かった。
満月だった確証はない。
ただひたすら眺めていた。
満足もしていた。
タクシーの窓から眺めては、
駅からの帰りに見上げては。


ただ、ぽっかり空いた穴は埋まらない。
空洞を埋めるのは、きっとそこにあった、
存在していたものだけなのだろう。


僕はなにがあったか知り得ない。
何かあったということのみ知り得る。